前に、吃音は周期的に調子の良い悪いがあると書いたのだが、一体その原因はなんだろう?
私の勝手な考えではあるが、やはり精神的なものであると思っている。少なくとも物理的に舌が短いからとか、歯並びが悪いからとかそういったことではないことは明らかである。
吃音は、独り言を話している時や歌っている時、また声に出さないで本を黙読している時などはどもらない、というのが一般的である。であるから、やはり吃音が発生する原因は、対人関係に非常に関係してくると思うのである。緊張したり、焦ったりしたときどもりやすくなるのは、どもったらどうしようという精神状態から起因して、この人の前でどもったらどういう反応をされてしまうだろう、というトラウマ的な要素が強いのではないだろうか。過去にどもって冷やかされたとか、馬鹿にされたなど、そういった体験を思い出し、無駄に体に力が入ってしまい、うまく話せなくなるのである。
しかし私の場合では、親しい人の前ほど吃音が出やすい。私が吃音を持っていると知っている人間の前では、安心するかとおもいきや、逆にどもりが強くなってしまうのである。これはまた不思議なことであり、親しい人の前では安心してリラックスした精神状態であるからどもらないと思いきや、逆にとてもどもりやすくなってしまうのである。
このように、はっきりとした原因がわからないまま、自分なりに試行錯誤し、苦しみながら改善策を立てつづけては失敗しを繰り返しているのが、吃音を持っている人間の現実である。
人と関わることに対して、なんらかの後ろめたさやコンプレックスがあるというのが、吃音を持っている人間に共通して言えることではないだろうか?