吃音者にとって社会人になることは不安との戦い

学生の頃は何とかなっていた吃音が、社会人になってから悩まされるということはないだろうか?
学生の頃は、喋ることから「避ける」「近づかない」といった逃げの姿勢が容易だったため、吃音が問題になることは少なかったかもしれない。
しかし社会人になると、喋ることから逃げることができなくなってしまう。
逃げることはすなわち業務を放棄することにもつながり、職場での評価や待遇に直結してしまうからだ。

ただ社会人になってからの逃げられない環境下でも、上手にやりくりをしている吃音者は多い。
どもりやすい言葉を他の言葉で言い換えるスキルを発達させている。
このスキルは吃音者なら誰もが使っているとは思うが、専門用語や業界用語が多くなってくる社会人の会話での言い換えは、多様な言葉のボキャブラリーが必要になる。
また、言い換えへの集中力も必要となるため、このスキルは容易には習得できない。
ただ、このスキルを習得してしまえば、健常者と同じように自然と話すことができるため、社会人生活を安心して歩むことが出来るようになる。

それではこの言い換えるスキルを身に付けるにはどうしたらいいのか?
最も効率的なのは喋ることだ。
吃音者は話す場面を無意識に避ける傾向があるが、意識的に会話に加わるよう努力し、場数を踏む。
これにより徐々に脳が言い換えるスキルに適応してき、スキルが発達していく。

そうなれば定年まで無事過ごしてきた先輩吃音者と同様に、安心して社会人生活を送ることが出来る。
逆に言えば、この言い換えるスキルを身に付けて吃音を克服しなければ、社会人としての生活はとても苦難に満ちたものになるだろう。